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今月のアイルランド

IRELAND THIS MONTH 今月のアイルランド
第十二回 2005年4月  
カーロウ CARLOW

アイルランド屈指の影の薄いカウンティー、カーロウ。その州都カーロウは、バロー川に沿った、くすんだ感じの地味な町です。しかし近年の好景気に伴い、また無理すればダブリンに通えるという中途半端な立地ゆえ、妙に発展している面と、古くから変わらない面とが、見事に入り混じっていました。

カーロウ城 の跡は、以前は工場の私有地の中にあって立ち入れなかったのですが、久しぶりに訪れたら整備されていて、一応観光客の受け入れ態勢ができていました。カーロウは、その昔のペイル(柵内地)の限界点。ダブリンを中心としたイギリス支配がここまで及び、この外はそれなりの自治が認められていたというその時期、イングリッシュとアイリッシュとの攻防が繰り広げられた町です。そう思ってみると、この城もそれなりの重みが感じられます。

大聖堂 は、1833年に完成したそうで、そう古いものではありませんが、ヨーロッパ大陸の建築の影響を受けているそうで、他のアイルランドの教会にはあまり見られない、ユニークな塔があり、遠くからでも良く見えて、カーロウのシンボルの一つになっています。この塔とそっくりの塔が、ベルギーのブリュージュのベルフォート(鐘楼)です。あちらが元祖で、この塔は、その影響を受けて建てられたようです。

ブラウンズ・ヒル・ドルメン は、カーロウ最大の観光資源です。観光地ではないこの町にあって、例外的な、有名な史跡です。何しろ上に乗っている石の重さが150トンだそうで、その大きさはヨーロッパ最大だそうです。機械もない古代の古代にどうしてこれだけの石を乗せることができたのか。不思議というしかありません。町から3キロほどの郊外にありますが、途中の道路は交通量が結構あって、歩道もないので、車のない人は、ここはタクシーで行くことをお勧めします。

 の季節です。今ぐらいから6月にかけてが、アイルランドの花の見ごろで、多くの観光客が訪れる7〜8月だと、ちょっと遅かったということが多いです。渋い町並みにも、時折みかけるこのような花が、雨模様の日にどれだけ潤いを与えていることか。

看板 にみるカーロウの町。まだまだレトロな古い看板も沢山残っています。観光地でもなく、常連の多い町ゆえ、お店なども、昔ながらの看板をあえて作り直す必要もないのでしょう。今となってはレトロと言ってもいいような看板が結構見られます。それにしても、左の看板は笑えます。スポーツクラブ、ボクシングクラブ、その下に、同じ場所に、スポーツで怪我したらこちらのクリニックへどうぞ、と、一緒にセットで全部揃っているのは、完璧なアフターサービスと言うしかありません。
 

町並み は、一言で言うと、くすんだ印象が強いです。それは天気が悪かったから?だけではないでしょう。最近でこそ、再開発が盛んで町並みも部分的にモダンに変わりつつありますが、それはあくまで一部。観光とも縁の薄い昔ながらの地味な町にふさわしく、裏通りにはこんな渋い路地が沢山あります。

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